【中級者脱却】中国語難発音② 尻切れトンボの二重母音

中国語の発音上級者になるためシリーズ、第2回

こんにちは、チャイ語とミャンマー語をマスターしたいチューメンです。

さて、先日の ü 母音に続いて、中級者によくありがちな発音のワナと改善方法を書いていきたいと思います。二回目のお題は、「尻切れトンボの二重母音」です。

 

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うーん、謎ですね。そんな言い方どこの教科書にも書いてないと思います。

そうなんです。なぜならこれは、中国語ネイティブスピーカーは絶対に悩まない問題で、日本人特有の、特に「自分はもう初級者を抜け出たし、発音もできている」と思っている人がはまりがちなワナだからです。

かくいう私も今でもこれは意識付けを続けています。

というのも、音読や通訳のように落ち着いてスピーキングができる状況ではないときに、今でも出てしまうからです。例えばテンションがあがったときの友人との会話、例えばタクシーの運転手とケンカするときの会話などなど、ヒートアップすると僕も今でも残念ながらワナにハマってしまいます…。

自分の反省のためにもしっかりまとめておきます。

尻切れトンボの二重母音とは

さて、「尻切れトンボの二重母音」とは一体何でしょうか?

これをもう少し堅い言葉で言うと、「二重母音の後半部消失現象」と言えると思います。つまり、ai や uo や ian や iong などの二重母音(厳密には uai とかもあるから複数母音かな?)を発話するときに、2つ目の母音や語尾を丁寧に処理しなかった結果、単語の発音が明確でなくなる現象です。これが「尻切れトンボ」状態です。

 

二重母音とは

さて、改めてここで二重母音とは何かをいつものようにwikipediaさんに聞きましょう。

二重母音とは、調音の開始時と終了時で音質を異にする母音のことを言う。調音している間に調音器官の位置が変化することによって生じる。

始まりの音質と終わりの音質を比べれば確かに違うが、調音器官が滑らかに移動することによって、聴覚的に1つの母音として認識される。

二重母音は、始まりの音質の方が聞こえ度の高いものを下降二重母音と言い、終わりの音色の方が聞こえ度の高い上昇二重母音と区別される。

ものすごく強調されているのは、2つに分かれた母音の並列ではなく、「母音が連続的に変化する」という点ですね。

 

日本語・中国語・英語の違い

例えば、代表的な二重母音である ai を使って3つの言語の違いを見てみましょう。

 

日本語

日本語は「アイス」という単語があります。

しかし、詳しい方もいると思いますが、日本語は、厳密には二重母音ではなく、母音が連続して連なる連母音であり、「ア・イ・ス」のように1つ1つの母音がややクッキリと分かれます。結果、「ア」と「イ」の2つの母音は同等の存在として認識されます。

※日常会話では連続することもあるので、丁寧に発話するときの話です。

 

英語

次は英語です。英語には ice [άɪs] という単語があります。

この単語を無理やりカタカナで表すとすると、「アーィス」となります。このときの「ア」と「イ」は同等の存在ではなく、1つ目の「ア」が強くなり、2つ目の「ィ」は弱く曖昧に扱われます。これを下降二重母音と言います。

 

中国語

そして中国語です。「爱」という単語は ài というピンインで表しますが、これは二重母音なので、日本語のように分かれた「ア」「イ」ではなくなめらかに「アイ」と扱われます。

しかし、英語と違うのは、英語は1つ目が相対的に強くなる下降二重母音なのに対して、中国語は2つ目が相対的に強くなる、もしくは同等扱いとなる上昇二重母音ということです。

 

まとめ

これをまとめると下記のような表になります。 

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つまり、中国語の母音とは、日本語のようにくっきりはさせすぎず、あくまでも、なめらか二重母音である。しかし、2つ目以降の母音を英語のように弱めたり、曖昧にしたりはせず、複数の母音の「存在感」を同じレベルでそろえることが重要、ということになります。

 

◆ 中国語の二重母音の発話方法
1)あくまでもなめらか二重母音と認識する。
2)複数の母音の「存在感」を同じレベルでそろえる。

 

日本語と似ているところもあり、英語と似ているところもありますが、逆に言うと、母音処理において3つの言語は全く同じで良いとは言えない、ということですね。

 

尻切れトンボ現象=二重母音の後半部消失現象とは?

さて、ここで二重母音から一度離れて、「尻切れトンボ」の話題に戻ります。この現象、具体的にどういうものでしょうか?

上述のように、尻切れトンボ状態とはつまり、「二重母音の後半部消失現象」のことです。詳細例をあげたあとまとめてみます。

二重母音の後半部消失現象とは?

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パターン

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尻切れトンボが発生しやすい人

中国語初級学習者には出づらい

ちなみにですが、この現象は初級者には起こりにくいです。なぜなら初級者はゆっくり丁寧に発話する傾向があるので、iang とか bian とかしっかり最後まで言おうとします。

また、上にも書きましたが、1つ1つしっかり読もうとする意識が強く働くレッスンの音読や通訳などの際も起こりづらいです。

 

中級レベル以上の男性に多い気がする(すみません、偏見です笑)

要するに、尻切れトンボ現象とは、ちゃんと最後まで言わないといけない iang とか bian と言った母音を、「俺中国語できるぜー、スピードもはえーぜー」と調子乗ったやつが、調子乗りすぎて母音処理が雑になること、と言えるでしょう。なので、男性の中国語発音がこうなりがちです笑

 

女性や中国語初級学習者にも出るときがある

しかし、これは女性や中国語初級学習者にも出るときがあります。それは焦ってしまうときです。焦ってしまった結果、母音処理まで頭が回らず、結果的に雑になってしまうケースはよく見ます。

では、この改善のために何ができるでしょうか?

 

どうすればいいの?ここがポイント

この改善は一朝一夕にはいきません。

特に、焦ったときにやや舌足らずになるのは、それは母語である日本語でも同じだと思います。ですので、実はこの点は、「これが俺・私の喋り方なんだ!」と開き直るのも最終的に必要な観点かと思います。

発音の向上はとても良いことだと思いますが、それを考えすぎて、話すことがおっくうになってしまうのは、完全に本末転倒ですので。

その前提の上で、せっかくならということで改善方法を提示していきたいと思います。

 

録音:自分の現状把握

まずは、何よりも、自分の発音を改めて録音し、現状把握をしてみましょう。

よく何をするにも、いきなり行動する人がいます。

もし、考えて考えて、これ以上考えても仕方ないから行動する!というのであれば、ポジティブな「思考停止」ですが、とりあえずやってみよう!というのは、効率を大幅に下げる場合があり、注意が必要です。

ダルビッシュ先生の言葉を貼っておきます。

録音をして、ネイティブの中国人スピーカーのCDなどと比較し、「1つ1つの発音や声調は合ってる。抑揚も合ってる。でも、何か違うような気がする…」という違和感があれば、それは大切にしましょう。そこに気づき、一歩立ち止まれることがまずは素晴らしいです。

もしも発音や声調が明らかに違う場合は、まずはその練習をしましょう。

けれど、そこをクリアした上で、何か違和感がある、特に「跳ねた感じで、中国語特有のねばっこさが少なくて、レガートでない感じがする」と思ったら、おそらくこの尻切れトンボ現象です。 

◆ 尻切れトンボ現象の判定ポイント
1)発話するときに、跳ねた感じがする。
2)単語と単語のねばっこさが少ない。
3)レガート(なめらか)でない感じがする。

 

分析:連母音or二重母音?上昇二重母音or下降二重母音?

レガートは音楽用語です。

レガート(伊:legato)は、音楽のアーティキュレーションのひとつ。連続する2つの音を途切れさせずに滑らかに続けて演奏すること

レガートな音楽というと、言葉が入っても息は続いているので、「ターッ、ターッ、ターッ」ではなく、「ターターター」と繋がっている音楽のことを言います。

上述の通り、中国語は上昇二重母音系の言語なので、英語のように各単語の母音後半で減衰せず、そのまま「ターターター」と繋がる言語です。

例えば、「我要搬家」という例文で、中国人ネイティブと日本人、そして欧米人の一般的な状況を表すと下記のとおりです。

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日本人の発音の特性ははまじめな国民性?もあってか、まず単語と単語を区切り、1つ1つ丁寧に発音することが多いです。

ちなみにこれは初級者に多いミスで、慣れていけば自然と消えることが多いです。

今回言及したいのは次のステップ。つまり、単語と単語が途切れがちなることは少なくなったものの、その後、上昇二重母音で処理すべき中国語の発音を、下降二重母音として処理するクセがついてしまい、結果として「雑な」発音になってしまうことです。

これが、尻切れトンボ現象の正体です。

◆ 尻切れトンボ現象の正体
くっきり発話すべき二重母音(上昇二重母音)の語尾が弱くなり、結果として、「ターターター」ではなく、「ターァターァターァ」のような下降二重母音処理をした結果、中国語特有のねばっこさやレガートが失われた状態。

 

エビデンス1

少しマニアックですが、Audacityいうソフトで、波形分析をしてみました。

『中国語解体新書(駿河台出版社)』の第一課から「说」と「明」の2つの音を抜き出してみました。1つ目はCDの音声、2つ目は私が友達としゃべるように、つまりやや雑に録音したものです。

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答えは一発で出ました。

お手本のCDは shuo や ming という単語を、最後まで言い切っています。その結果、「繋がる発音」になっています。

私がしゃべった尻切れトンボ型は、shuo や ming の語尾部分を雑に発話し、弱くなってしまった結果、下降二重母音のような形になっています。 

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これが、本来は最後までくっきり発話しなくてならない二重母音の語尾が弱くなってしまい、中国語特有のねばっこさやレガートが失われ、結果として、ぼやけた語尾になり、キレがなくなった状態です。

まさに尻切れトンボです。

 

エビデンス2

せっかくなのでもう1つ例を。

YouTubeなどで活躍するポリグロットの秋山燿平さんと、同じくbilibiliで動画投稿をされるAMIKUNさん。彼ら2人の対談動画があり、それが良い例だったのでUPしてみます。

www.youtube.com

2人とも外国人としては全く問題ないレベルにある上で、あえて優劣をつけるとすると、AMIKUNさんのほうがさらにうまく聞こえます。

※彼ら2人が最も重きを置く部分は違うと思うので、あくまで「中国語の発音」だけを見た意見です。

これは、秋山さんの二重母音の後半が消失しがちで、ややボヤけている一方で、AMIKUNさんは二重母音をきっちり発音しているため、「ガチ」に聞こえるからです。

 

尻切れトンボにならず、母音をきっちり発音する、とは?

01:37の部分「简单的来说首先基础要做好」のピンインを見てみましょう。

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(このセリフは言っていませんが)秋山燿平さんがこのセリフを言うと、上の言い方になります。つまり、二重母音の後半が消失ぎみなので(赤文字部分)、尻切れトンボになる。結果、キレがややなくなる。

一方で、AMIKUNさんは二重母音をしっかり最後まで言い切っているので(青文字部分)、「繋がった」中国語に聞こえる。

まさに上述のした二重母音の「形」がそのまま出ています。

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さて、これで尻切れトンボ型がどうしてよくないのか。その原因が何かが明確になりましたね!現状把握と分析ができたら、次は改善です!

 

改善方法

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【さらに上級者へ】清潔な二重母音と速度の共存

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李姉妹

見本としてスピーチコンテストの例を

執筆中

【中級者脱却】中国語難発音① ü(ウムラウト u)理論編

中国語の発音上級者になるためシリーズ、スタート!

こんにちは、チャイ語とミャンマー語をマスターしたいチューメンです。

さて、ここ2-3週間Twitterやその他のブログを見ていて、文法書より詳しいサイトを作ったり、俺には死んでもできない図解でわかりやすく言葉を類別したりして、ほぇ~すげ~というものを見てきました。

同時に思いました。俺にできることはなんだろう?と。

根気もないし、四字熟語的な知識もないので、そこで貢献することは難しい。でも、英語・中国語そしてミャンマー語でも圧倒的に重視している発音なら貢献できるかも!と思い至りました。

ということで、中国語歴そろそろ20年になるチューメンが、中国語の発音において、基礎を抜けた中級者がさらにレベルアップして上級者になっていくために、はまりやすいワナとその改善方法について記事を書いていきたいと思います。

記念すべき第一回は ü(ウムラウト u)です! 

 

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そもそもウムラウトって何?

さて、そもそも論なんですが、ü のことを「ウムラウトの u」と表現しますが、で、ウムラウトって何?と思ったことありませんか?私も習慣で使っていましたが、改めてwikipediaで確認しました。

ウムラウト(独:Umlaut)とは、ゲルマン語派のいくつかの言語において見られる母音交替現象。

ウムラウト記号は、主に円唇・後舌で発音される母音(a、o、u)を、円唇・前舌で発音しようとする場合(ä、ö、ü)に用いられ(中略)、現代中国語のピンインでは、[y] 音の表記に ü が用いられる。

要するに、「舌を後ろの方に置いて(後舌)発音する u を、あえて舌を前の方に置いて(前舌)発話する」ということです。

「いやいや、要されてもわからんのですが…」

…ですよね。

 

なぜ日本人にとってウムラウトはとっつきづらいのか?

なぜわかりづらいかと言うと、日本語の母音アイウエオは、口の形と発話する音が全部わかりやすく一致する言語だからです。唇の形が「ア」、出す音も「ア」、そして表記も「ア」、それが日本語の「ア」です。だから、そもそもズレることがある、という概念が理解しづらいのです。

でも、他の言語では割と普通にズレます。ドイツ語の ä は「ア」ではなく「エ」、 ö だって、「オ」の口で発話は「エ」です。英語の æ なんかも、「エ」の口の形で、「ア」と言われますよね。

語学以外の趣味でいろいろな言語に触れる機会が多いので感覚でわかるのですが、ドイツ語のウムラウトの発音もできない人が多い。英語の æ もみんな苦手ですよね。そもそもの概念が違うのでそりゃそーですね。

‌なぜこの母音交替現象が起こるのかは、研究者ではないので知りません。しかし、口の形と発話する音がズレることは普通にあるんだ、ということを知って、頭を柔らかくしておいてもらえると、後々楽になると思います。

 

ü(ウムラウト u)は中国語にはあるの?

wikipediaでは主にゲルマン語派で出てくるとありますが、中国語にもあります。

他の母音との組み合わせで、4つの ü(ü/üe/üan/ün)がありますが、基礎となる2つである ü と üe をここで学習しましょう。

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素人臭い表ですみません…。

単母音で6つ、二重母音(厳密には2個の単母音の羅列)も6つで、合計12個です。

その内、全ての基本となるのが yu(ü)ですね。ウムラウト記号が明記されるものと隠されるものがあるのはみなさまご存知だと思います。

 

で、ü って、どういう発音なの?

さて、中国語の ü の発音ですが、結局どうやって発音するのかといえば、結論から言えばシンプルで下記の通りです。  

◆ ü の発音方法
日本語の『ユ』の口の形で、『イ』を発話する。

 

うーん、地平線の彼方から「そんなこと教科書には全部書いてあるし、知っとるわボケ!」という声が聞こえてきます…。

 

本当にできてますか?

でも私の感覚的には、日本人はこの発音、本当に苦手です。体感ですが、初心者はもちろん、中級者でも90%以上ができてないと思います。なぜでしょうか?

それは、上述したように、口の形と発話する音がズレることがむしろ正解なんだという理解に至っていないことが1つ。

もう1つは、その理解に至っていない状態で、“優しい”先生が「中国語の ü は日本語の『ユ』みたいに発音すればよいですよ」という学習者を慰めるような誤った説明が広く伝わっているからだと私は思っています。

中国語学習界もビジネスがあるので、学習者に優しくというのは理解できますが、それは「優しさ」ではなく「甘やかし」で、はっきり言って、 その甘やかしが上級者へのレベルアップを阻害しています。もはや💩です、害悪です(すみません…)

 

日本人によくある ü の発音間違い

実際に、日本人の ü の発音によくある間違いを書いていきます。おそらく、多くの人に心当たりがあるはずです。

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この赤文字の発音は完全に間違いです!

「中国語の ü は日本語の『ユ』みたいに発音すればよいですよ」という甘やかしのワナにはまっている日本人が多すぎる!なんでや!

 

ü の発音はどうする?

「中国語の ü は日本語の『ユ』みたいに発音すればよいですよ」という言葉が罪なのは、あながち間違ってはいない点です。でも、間違いなくあとひと押しが「足りない」のです。

では、ネイティブの発音に近づけるためには、何が足りないのでしょうか?さきほどの説明をもう少し詳細に書いてみます。 

◆ ü の発音方法(詳細)
1)「ユ」の口の形を作る。もっと言うと、口笛を吹くような形ぐらい尖らせる(舌は後ろ側)
2)1の形をキープしたままにする(唇の緊張を解いてはいけません)
3)「イー」と発話する(舌が前に出る)

 

ü の発音のポイントは3つありますが、絶対に日本人が気をつけるべきポイントは2と3!断言します!

この2と3ができるかどうかが、この ü の発音がきれいにできるかの瀬戸際です。

実際にやってみましょう。

 

1)「ユ」の口の形を作る。

まず1ですが、「ヤユヨ」の「ユ」の口の形を作ります。普通ならこれで十分ですが、ときに唇が知らずに弛緩してしまう人がいるので、もっと極端に言うと、口笛を吹くぐらい唇を尖らせて緊張させるという理解でもOKです。

このとき舌は自然な形で、口腔の下側かつ後ろ側にあります。

 

2)1の形をキープしたままにする

次に2ですが、ここが肝の1つ目で、1で作った唇の形を1ミリも崩さずキープします。ここで唇の緊張を解いてはいけません。また、唇の形が崩れてもいけません。本当に1ミリも動きません。もし動いてしまうとしたら、それは唇が音に引っ張られてしまっています。

このときの唇の形は↓の形のはずです。

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3)「イー」と発話する

この2の形をキープした状態で、肝の2つ目!「アイウエオ」の中の「イ」を発話してください。「イー」という長母音で練習したほうがおそらくやりやすいと思います。

また、このとき舌は、1のときよりも口腔内の上の方にあがり、上の歯の横内側に接すると思います。英語のthの発音(θ/ð)のように上の前歯の裏につけてしまうと息が通らなくなるのでNGです! 

 

完成

ここまでの1-3がそろって初めて、ü の音、完成です!

しかし、日本人は1で終わっている人が本当に多い!繰り返しますがそれでは中途半端で、1を前提に、2と3があって初めて本当の ü の発音と言えるのです。

 

え、すごいしゃべりづらいんですけど?と思った方へ

そりゃそうです、上にも書きましたが、生まれて数十年ずっと「唇の形と、発話する母音が一致する言語」をしゃべってきたんですから、窮屈で当たり前です。物理的にもついていかないし、脳みそもつかれます。

でも、もしも ü の音に何か違和感を感じている人は、ぜひトライしてみてください。最初は本当に慣れないと思います。けれど、違和感を持ったまま進んでいくと、いつか伸び悩んでしまいますので。

ここまでいって信じられない人は、ぜひスラムダンク24巻を読んで、桜木花道のシュート2万本練習とその後の気づきを見直してください!(逆ギレ)

 

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余談:なぜ ü の正しい発音法が広まっていないの?

「そこまで自信持って言うのに、なんで日本人は ü の発音がそんなに苦手なの?」と思う人、いると思います。

推測が多分にまじりますが、しかしこの状況は仕方ないとも言えます。

日中国交正常化が1972年、そのときに20歳ぐらいだった学生が20-30年後に先生となって中国語を教えるわけです。それが1990-2000年代でしょうか。

かつては、生の中国語の音声は今ほど簡単には手に入らなかったと思いますので、文法は詳しくても発音が上手でない方が多かったのではないかなと思っています。で、自分が習ってないから、学生にも教えられないという循環。

今はニュースやドラマなど、教材には困らないので、段々と改善されていくと信じています。

 

【さらに上級者へ】ü の発音のゆらぎ

さて、ここまで ü の発音について見てきましたが、すでにできている人からすると、おそらく余裕の内容です。

ですので、ここでさらにもう1つレベルアップをしておきましょう。題して「ü の発音のゆらぎ」です。

 

ü の発音のゆらぎ

人間は現金なもので、例え歴史的にAとBが別物だったとしても、文字の統一などで表記されなくなると、段々と本来の形を忘れてしまうことが多々あります。

例えば、

  • 「闘」と「門」:今では同じ「もんがまえ」ですが、本来は闘は鬪「鬥:とうがまえ」と言われる別の部首です。
  • 「い」と「ゐ」:現代仮名遣いでは同じ「い」と発音しますが、本来は「い」は「い」、「ゐ」は「うぃ」と発音。紅(くれなゐ)とか田舎(ゐなか)。

これが、中国語でも起こっています。

結論から言うと、単母音の ü は、ウムラウト記号の有無に関わらず、原則きれいな ü を維持しています。

しかし、後ろに e がついた二重母音の üe は、開口母音である e に引っ張られ、かつウムラウト記号も消失しているため、ü であるという認識が薄れ、唇がやや弛緩する傾向があります。これが「 ü のゆらぎ」です。 

◆ ポイント
本来は ü のはずの音が、後ろの e に引っ張られて唇が弛緩し、またウムラウト記号が消失していることで本来は ü だったという認識もやや薄れ、u の音に近づく「ゆらぎ」が発生するときがある。

 

そのゆらぎをまとめたものが下記の表です。1つ1つ見ていきましょう。

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単母音

lü/yu/ju/qu/xuは、ゆらぐことはまずありません。ゆらいだら完全に別の母音になってしまうので。ですので、yu を「ユー」と発音したり、qu を「チュー」と発音したりするのは1000%間違いです。

nüだけは少し例外で、美女 měinǚ とか女性 nǚxìng と読むときに、結構「メイニュー」に近くなるときがあります。

本来この「メイニュー」という発音は、記事の序盤で説明した通り、間違いです。しかし、nという子音が関係していると(勝手に)思っていますが、やや「メイニュー」に近づいても許容される傾向があります。

しかし、6つとも、明確な u になってしまうのは絶対に間違いです。ですので、「メイヌー」はアウトです。

 

二重母音

問題はここからです。

二重母音も、ウムラウト記号が残っているか消えているかで、人間の「視覚」に訴える度合いが違います。その結果、「ゆらぎ」が発生します。

nüe/lüe は、やはり基本ラインは ü です。しかし後ろの e に引っ張られて、単母音のときより「ニュ・リュ」という発音が許容されます。つまり、lü を「リュ」と読むのは明確な間違いですが、lüe を「リュエ」と読んでも、大きな事故は起きません。

yue/jue/que/xueは、そのゆらぎがさらに顕著です。なぜなら、ウムラウト記号が消失しているからです。ウムラウト記号が消失し、さらに後ろの e に引っ張られ、だいぶ「ゆらぎ」が大きくなります。結果、それぞれ、「ユエ」「ジュエ」「チュエ」「シュエ」のような発音と非常に似通ってしまうのです。

 

ベストはやっぱりしっかりとした ü+e

もちろん、ベストは ü の発音をしっかりキープした二重母音を発話することです。

実験で、複数の中国人の友人に、 ü と u をあえて強調した xüe と xue を聞いてもらいましたが、反応は「違いはないと思う」「強いて言うなら前者が引き締まってクリアな感じがする」というものでした。 

◆ ポイント
ウムラウト記号が無く、かつ二重母音の場合、本来の発音が「ゆらぎ」、yue/jue/que/xueは、「ユエ」「ジュエ」「チュエ」「シュエ」の発音に近くなっても許容される傾向がある。
 

繰り返しますが、「ユエ」「ジュエ」「チュエ」「シュエ」の発音に近づいても大事故は起きないという意味であって、ベストは ü の発音を常にキープし、「üエ」「jüエ」「qüエ」「xüエ」と発音することであることは忘れずに!

さて、長くなってしまいました。次回は ü の実践訓練です!

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さて、ミャンマー語学習スタート記事の4つ目!これでとりあえずラストです!

 

ミャンマー語スタート~挫折~リズムを掴むまで

やる気満々でスタートしたミャンマー語(①)、出鼻をくじかれて(②)、その後オンラインミャンマー語会話に出会った(③)ところまで前回の話でした。

erodegogaku.hateblo.jp

その後、すでにレッスン30分✕5回受けているのですが、良い!とても良い!

 

①オンライン業者のC-Schoolのテキストが良い

まずテキストが良い。PDFでテキストを送ってくれたのですが、内容が素晴らしい!私が欲しかったものドンピシャ!

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「AはBです」「AはBですか」「これはAです」などなど、ミャンマー語をゼロからやろうとするものにとって、いきなりすぎない内容が素晴らしい!

 

よくミャンマー語=あいさつからスタート!となり、「こんにちは」にあたる「ミンガラーバー」から始めるパターンが多いです。が、旅行なら良いのですが、ミャンマー語をマスターしたいと思っている人間からするとまじ苦痛。

ミンってmin?それともming?ガってga?ŋa?声調は?音の高低は?つーかどういう単語構成?という細かいところが、100点を目指しているために適当にできないのです。

これは英語と中国語という2つの外国語を習得した過程で、絶対に大切だと認識しているポイントなので、おろそかにすると後で必ず困るポイントです。

 

ちなみに、なんならこの「初級」と言われる「ミンガラーバー」は、ビルマ文字で書くとမင်္ဂလာပါとなります。これはニューエクスプレス+の言葉を借りれば、

ビルマ文字には、パーリ語などからの借用語に使われる「重ね文字」という特殊なつづり方があります。

そのうちの1つ。

いや、一言目から特殊表記とかまじ無理。

 

もちろん、繰り返しますがこういう気軽なところから一歩入ってみるのは否定しません。学ぶだけ学んで何もしゃべろうとしないパターンより全然マシ。

大切なのは、ゴールをどこに置くかなのです。私は、言語をマスターしたい派なのでしっかりやっているだけです。そういう意味で、丁寧にやってくれるこのC-Schoolのテキストは素晴らしい。

 

②ネイティブの先生にガンガン質問可能

当たり前っちゃ当たり前ですが、先生がネイティブなので、テキストのわからない点をガンガン質問できます

 

学習スタートから2週間程度ですが、だんだんわかってきたこのミャンマー語の言語としての未成熟さ。どういうことかと言うと、英語を筆頭に、世界中のメジャーな言語って、発音にしろ文法項目にしろ、結構分析されていると思うんですよね。

けれど、ミャンマー語は、鎖国状態だったからか、自国or外国でのミャンマー語研究がまだまだ進んでいないことが感じられます。結果的に、発音や文法項目などに空白地帯が多い。これはネイティブにとっては「よくわからんけど習慣的にこうだから」で終わりますが、学習者にとってはルールが把握できなくて、なぜこうなるのかわからん!になってしまう。これがつらい。

 

毎回30分のレッスン時間ですが、その前にしっかり復習して、疑問点をノートに書いておいて、次のレッスンの5-10分で質問をぶつける→回答してもらう。それをまた復習する。良いリズムです。

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これは、ニューエクスプレス+にCDがついていてもできないことだなぁと思います。まぁ当たり前か。

 

③身銭を切って必死になる大切さ

そして、最後は精神論になりますが笑、やっぱり身銭を切るということは大切なことです。もちろん100万円とかなれば別ですよ。でも、このC-Schoolの価格体系なら投資できるし、する価値があると思ったし、そうでないと必死にならない!

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これはよく言われますけどね、「無料」とか言われちゃうと、まぁ行かなくてもいいかとか、また次回やればいいか、となりがちです。

でもお金を払ったならば、絶対に無駄にできない。精神論ではありますが、やっぱりバカにできないことですね。

 

今後の予定

大学の第二外国語というのは、だいたい90分✕週2回✕15週ぐらいだと思います。時間にして45時間。それが前後期あるので、90時間程度でしょうか。それに合わせる予習復習入れたら…150時間ぐらいかな。

大学の中国語は、1年間やったあと短期留学で中国に行き、カタコトしゃべれるかな~ぐらいのレベルだったことを覚えています。今回は各種の成功失敗を反映しての勉強なんで、どこまで圧縮できるだろうか…。

引き続き、きっちり予習復習を行った上で週2回ペースを目標にオンラインレッスン。今年の9月にはミャンマー語検定のMBレベルに受かりたいけれど…鋭意努力したいと思います。

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さて、ミャンマー語学習スタート記事③です。

 

挫折の嵐

やる気満々でスタートしたミャンマー語(①)、出鼻をくじかれた話が②でした。  

erodegogaku.hateblo.jp

しかし、ここで思い直すと、本屋でいろいろな学参を見たときに、これいじょうちゃんとした本もなかったんですよねほんとに。

私は少しカタコトができればOKというところには語学のゴールを置かない主義なので、英語もIPAをきっちり学びましたし、中国語も徹底的にピンインをやりました。そこをしっかりやっておくことは、最初ゆっくりなんですが、伸びが違うんですよ、特にスピーキングで。

 

オンラインミャンマー語教室を探そう!

で、無い頭をひねって考えた結果、ふと思いました。「あれ?フィリピン英語講師でビズメイツやってるなら、オンラインミャンマー語なんてのもあるんじゃないだろうか?物価を考えると、そんなに高くないのではないか?」と。そう思って検索した結果、

あるよあるよオンライン教室!神!

 

いやー俺が大学にいたときなんて考えもしなかったこんな学習方法。科学技術に感謝、Skypeに感謝、そして先生をやってくれているミャンマーの方々に感謝です。

 

C-Schoolというオンライン業者申し込み

いろいろ内容やシステムを確認した結果、最終的にC-Schoolというところにしました。

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https://c-school.asia/

 

その理由ですが、

  1. いやらしい話ですが、値段が安い!1回30分で約1000円ということで、もうどんどん申し込める。語学は最初は量!絶対に量!
  2. 先生が良い意味でしつこくて良い!もう嫌というほど文章をリピートさせる。

もうオンラインミャンマー語としてこれ以上ない状況でした。ので、一応2人の先生で体験レッスンを受けましたが、終わり次第即本番コースを申し込みました。

 

ちなみに、最初の授業は「AはBです」という内容。

「私は日本人です」「私はミャンマー人です」「私は会社員です」「私は学生です」………

 

これだよ!俺が求めていた第一課は!泣

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昨日、ミャンマー語学習をスタートしていることを書きました。そして、きっとミャンマー語・ビルマ語学習者が必ず持っているであろう白水社のニューエクスプレス+ビルマ語を購入したことを書きました。  

erodegogaku.hateblo.jp

 

見事に挫折した話

そして、多くの人がしたように(してるよね?)、速攻で挫折しました!笑

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始まって数ページは、ビルマ語とは?みたいな話。うんうん、いいねいいね、という感じで読んでいました。

P.13から発音について始まったと思ったら、すぐに声調、そして34個の子音!それが終わったら補助である介子音に母音に末子音…結構ヘロヘロになったところで文字に入り、アルファベットと全く違う視力検査文字にそれぞれの記号が組み合わさってもう頭ショート。

いやー、これ、きつくね?というところでようやくテキストが現れて、「お!This is a penレベルの簡単なところから第二章が始まるぞ!」と思ってた第一課…

ダーオウンビンラー/これはココヤシの木ですか?

マホウップー エーダータンビンバー/違います。それはオウギヤシの木です。

ダーバーレー/これは何ですか?

エーダー タイェッピンバー/それはマンゴーの木です。 

わかるかい!怒笑

 

進歩の階段飛ばしすぎ。どうみても俺はLv.1、この文章Lv.10。モンスターとエンカウントして、どうせキメラでしょ?と思ってたらいきなりメイジキメラあたりが出てくる絶望感に似てる。いつセーブしたっけ?という絶望感ね。

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わかりますか、この色違いの絶望感。

 

レベル高すぎじゃね問題

通常、どう考えても「私は~です」とか1レッスン1文法が限界だと思うんですよ、全く知らない言語だし。それが、いきなりの疑問文、そしてこれ・それの区別。

そして極めつけは、ココヤシとオウギヤシの違い。

知らんがな!笑

 

と、いうことで、意気揚々と挑戦スタートしたミャンマー語ですが、テキストのいきなりのレベルの高さにふんづまり、やべ…まじわからん…取っ掛かりが全くない…という状況になってしまいました。

ここらへん、教材の種類が少ない弊害でしたね…。ということで、私は少し方向性を改めることにしました。

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さて、トップページにミャンマーの国旗を載せているにも関わらず、最初の自己紹介以外、ここまでミャンマー語の話題ゼロ!皆無!

すいませんほんと…。

 

ミャンマー語学習の動機について

どうして急にミャンマー語?というのは、ぜひ下記の記事をご覧ください。 

erodegogaku.hateblo.jp

ま、端的に言うと、旅行で訪れたミャンマーのカオス具合に魅せられて、「もっと現地語で会話をしたい!キラキラ」と思ったわけです。

 

本屋に行ってみるも…

そこで、日本の本屋さんに行きました。今は結構インターネットやタブレットを使っての勉強も盛んですが、がっつり腰を据えての勉強はやはり本を開いてやりたい派!ということで、使えそうな本を探しにいったのでした。しかし…

 

まじミャンマー語の学参少なすぎ!

今まで探すのって、英語か中国語かだったので、毎月のように新刊でるし、学参の棚で困るぐらいあったんですよね。むしろ買いまくって邪魔になるぐらい。

けど、ミャンマー語ほんとーに少ない!まぁ話者も少ないし、今すぐにビジネスで需要があるわけでもないし、まぁそんなもんですよね。 

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漁ること30分。ミャンマー語はだいたいが「旅行で使えるミャンマー語」とか「フレーズ丸暗記ミャンマー語」みたいなニュアンスの本が多くて、あくまで旅行で一言二言しゃべれたら「やったー、通じた!」と喜びを味わえますよ的な本が多かったです。まじふざけんな。

こっちは結構がっつりやりたいんじゃい!発音とか声調も適当じゃなくてがっつりやりたいんじゃい!と、本棚の前で一人怒っており、でもないからしょうがないか…と思っていたとき!

ニューエクスプレスのビルマ語を発見!

 
マイナー言語学習者の神、白水社!

そうでしたそうでした、マイナー言語を手広くカバーしている白水社を忘れていました。ビルマ語って書いてあったから、最初のミャンマー語サーチでひっかからなかったね。

ちなみに「あれ?このシリーズの表紙ってもっとダサくなかったっけ?」と思ったのですが、もうこれは三代目で、表紙もどんどんかわいい感じになっているのでした。失礼なこといってすみません。

 

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左から、2004年・2015年・2019年の出版。

2020年の今年ミャンマー語を初めた私は、当然このきれいでかわいい三代目の「ニューエクスプレス+」を購入!良い!テンション上がる!

 

 

ということで、ようやく武器を購入。さっそく使い倒そう!と思って意気揚々と開いたのですが、待っていたのは挫折でした…。